2011年に発生した東日本大震災は、頻繁に「想定外」と言う言葉で語られる。
マグニチュード9という巨大地震により2万人近い犠牲者が出ることは、地学者にとっても想定外に大きな被害だった。
一方で、「3.11」から5年が過ぎた2016年4月に発生した、熊本地震は、過去の歴史に照らせば、約20年後に発生が予想される南海トラフ地震に向けて、西日本で直下型地震が増加するという、シナリオの一部だと説明される。
現代の地学が明らかにしてきた、「地球科学の革命」と言われたプレート・テクトニクス。「第二の革命」と言えるプルーム・テクトニクス。
半径6400kmの地球内部では、物質の大循環が起きていて、その滞留から「地球の磁場」が生まれ、それが、地球に降り注ぐ宇宙線から生命を守っている。
46億年前に地球が誕生してから、20億年間は宇宙から降り注ぐ、宇宙線により、生物は深海でしか生存できなかった。
しかし、地球の磁場が誕生してからは、地球環境が劇的に変わり、生物が暗い深海から、浅海、地上へと広がっていった。
現代の生物学が、地学と密接に結びついていることがわかる。
何といっても、この本で衝撃的なのは、
8章の日本列島の地学だ、過去の地震発生の歴史を振り返りながら、3.11による誘発地震として、首都圏直下地震を予測する。
地震調査委員会では、今後30年以内に首都圏でマグニチュード7クラスの地震が70%の確立で起きると予測する。
また、2030年代には南海地震が起き、2040年までには、次の連動地震(東海地震、東南海地震)日向灘(宮崎県沖)が起こると予想している。
この場合震源域の全長は750kmに達し、マグニチュード9レベルの超巨大地震になる可能性がある。
最悪の被害想定では、32万3000人が死亡、経済的な被害は、220兆3000億に達すると言われる。
◎この本は、地学の知識があまり無い人でも、地球のダイナミックな動きの中で、地学と生物の研究成果を理解することができ、その上で、これから日本列島で起こるであろう、巨大地震や、火山の噴火など、私達が備えなければならない大きなリスクを教えてくれる。
私たちは、これから主役となる若い世代に、持続可能な社会インフラを引き継いでいかなければならないと思う。
ぜひ、手に取って読んでもらいたい、おすすめの一冊だ。
鹿児島市の10キロメートル東の海上にそびえる桜島は、姶良カルデラの南端にできた 最新の火山活動です。そして、鹿児島湾北部にある円形の地形は、2万9000年前の巨大噴火によって陥没してできたカルデラの名残なのです。 ちなみに、桜島はいまから100年ほど前の1914年1月に大噴火しました。 この噴火は一年以上も継続し、噴出物の総量は1707年の富士山宝永噴火を上回り30億トンにまでなりました。 現在は、大正噴火で出た量の九割に相当する量まで、マグマは回復しています。2020年代にはいると、マグマの量は大正噴火のレベルまで達すると予測されています。すなわち、桜島火山が大噴火を起こす時期に入ったことを警戒する必要があるのです。