アマミノクロウサギに会いたい。
奄美に来た人は、誰もが一度は見てみたい動物の一つではないか、
奄美の森は深く、未知の生物世界にあふれている。
大浜海岸の夕日。多くの人々が、美しい夕日を見に集まっていて、予想はしていたが、
少し驚いた。中には、プロのカメラマンが、夕日をバックにして一般客を相手に、商売しているグループも2組ほど。写真は余計なものを排除して切り取っちゃうから、騙されちゃうよね。
さて、ここから、夜の探検へ出かけよう。
目指すは、ある峠へ。情報では、奄美のクロウサギなんどに遭遇する確率がとても高いと聞いている、大浜からは23km、車で40分。
到着するころには、真っ暗な闇が広がっているはず。
夜の森は、光がないので、真っ暗だ。この日は道路にカニが多く出歩いていて、車で踏みそう。静かな暗い曲がりくねった道を、周りを気にしながら、ゆっくりとのぼっていく。
大きなヒカゲヘゴがところどころに姿を見せる。
真っ暗闇なので、車のヘッドライトしか頼るものはない、こんな感じで、本当にクロウサギに出会えるのだろうか?
前に停車中の車のライトが見える。停車しているところを見ると、何かいるようだ。
しばらく、その車が移動するまで待っていた。
少しづつ、近づいていくと、小さい黒い影が見える、あれがアマミノクロウサギだろうか? だんだんと、近づいていくと、ようやく、生き物の形が見えてきた。
いた、「アマミノクロウサギだ」一生懸命にえさを食べている。急いでカメラを取り出し、撮影開始。車で少しづつ、近づいてみる。あまり気にしている様子もない。
カメラで何度も撮影したが、特に逃げる様子もなく。意外だった。
アマミノクロウサギは、奄美と徳之島だけに生息する日本固有種。
海岸近くから、山地の森林に住み、夜になると草木の葉や、木の実などを採食する。
特別天然記念物だ。
奄美群島は、かつてユーラシア大陸や日本本土と陸続きでしたが、約200万年前に大陸から切り離され、現在の島へと分かれた。
アマミノクロウサギやケナガネズミなどは、元々は周辺にも広く分布していた種が、大陸では生き残れなかったが、奄美・徳之島では、環境の変化に適応したり、天敵がいなかったりして、生き残った「遺存固有種」になる。
耳が小さく、地味でかわいいアマミノクロウサギ、見れて本当に良かった。
奄美の自然の中で、静かに生きている。
車で走っているなかで、3匹のアマミノクロウサギを見ることができた。
子供のウサギは警戒心が小さく、写真も撮影できましたが、大きなウサギは、車のライトを見ると、大きくジャンプして森の中へ隠れてしまいました。動きが遅いと思っていたら、とんでもない、やっぱり野生動物ですね。
夜の道路からは、フクロウの声がします。
「コホッ、コホッ、コホッ」と鳴いているので、少し鳴き声がする方向を見てみたら、
鳥が、枝にとまっていました。
暗くて良く観察できなかったけど、リュウキュウコノハズクではないかと思います。
2時間余りの、ゆっくりした自然観察でしたが、奄美の夜の自然を堪能することができました。
奄美の森は、ハブがいる。夜は、ハブが活動するので、特に危険ですが、人間を寄せ付けない、猛毒のハブがいるから、この森が荒らされずに残っているかもしれません。ハブは奄美の森の番人かも。ゆったりとした森が、この島には残されている。