内田樹さんの本は、自分自身が疑問に感じて、悩んでいる時に、かろやかに見えるが、その問題の本質を見抜いて、自分の深いところの考えに、適度な刺激とアドバイスを与えてくれる。
この本は、これから結婚しようとする、若者だけでなく、すでにパートナーとなり、夫婦の危機を迎えて、どうしようかなどと考えている人に、「結婚」っていったい何なんだよと、あらためて、問い直すことができる。そういうことを考えている人向けに書かれた本です。
まず、結婚ってめんどくさいし、自分のやりたいことを我慢して、時間的にも、経済的にも束縛されるのがいやなんだと、よく結婚しない人の周辺で聞きますが。
●『誰にも制約されねい生き方「誰からも頼みにされない生き方」って楽しいですか?
それって、要するに「いてもいなくてもどうでもいい人」になるということです。』
そうだよね、納得。
人って、誰かに頼られなくなったら、きつい仕事なんか、絶対にしないと思う。
その仕事をやることによって、喜こんでくれる人がいたり、その事で、助かる人がいるから、きつい仕事もやっていられるよね。
夫婦生活が長くなると、当初の愛情は冷めて、相手の欠陥が気になりだしたり、自分に対する言葉が冷たくて、怒りを覚えたりすることが増えたりする。世間一般に結婚生活の長い人々を見ていると、日常的に会話も少なく、一緒の屋根の下で寝泊まりしているだけで、食事だけ一緒に食べている、みたいな状況の夫婦が多い。
そんな倦怠期夫婦には、ささいな言い争いで喧嘩になり、不満が限界に達して、離婚という選択もちらついたりする。
●『自分自身の人生が楽しいと、倦怠期は起きても、それほど致命的なものにはなりません。「倦怠している」人たちというのは、ある種の自己倦怠を病んでいるからです。』
●『配偶者との関係を穏やかで健全な状態に保とうと思ったら、まず「自分はどうすれば機嫌がよくなるか?」について考える』
●『他者に対する好奇心は、自分に対する好奇心に相関する。自分が変われば、世界が変わる。』
夫婦の危機の本質は、自分の問題が主なんだよ、と言っている。自分が変われば、世界は変わる、夫婦関係も変わる、そういうことか。
で、最後に「結婚」とは?
●『結婚というのは「病めるとき、貧しきとき」に一気に路上生活者に転落しないためのセーフティネットです、安全保障です。
自分が「落ち目」のときに身銭を切って支えてくれる人を手元に確保するための制度なんです。』
言葉で書くと、とってもドライで、もともこも無い言い方だけど、少し深いところで腑に落ちる言葉だな~と思う。
この本を読んで、夫婦関係の維持に本当に必要な物は何で、そもそも結婚の最大の意味って、なんなんだろうと考えたときに、確かにそうだよな、と周りを見渡して納得するよな、そんなおすすめ本でした。内田樹さんはやっぱりすごい。