今年は、新型コロナウイルスで世界中がパニックに陥る中、日本でも、すでに感染者数9千8百人(死者数 208人 2020年4月18日)を超えている。
世界の感染者数は220万人(死者数15万人 4/17)となっており、このウイルスの感染力の大きさは今までに経験したことの無い、スピードになっている。
そんな中、私達はいかに、正しい情報を得て、このウイルスと戦っていくかが、問われている。
岩田健太郎氏は、神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症講座感染治療学分野教授。
NYで炭疽菌テロ、北京でSARS流行時の臨床を経験している。
この本の冒頭に目的が書かれている。
1.日本の人達は、感染症をはじめ健康や病気についての正しい情報を持っていない
2.そういう「正しい情報」は、別に専門家でなくても携えることは可能だ。
私達が病気の話や、健康食品の話で、常識と思ってしまっている知識の中に、多くの正確でない情報が含まれているのだ。
*インフルエンザワクチンは本当にきいているの?
アメリカの疾病対策予防センター(CDC)がまとめていますが、2017-18年の冬のアメリカのインフルエンザ・ワクチンの効果は36%でした(ビミョウー)。
インフルエンザは非常に流行性の強い感染症なので、とてもたくさんの何千万という感染者が発生します、仮に3割の患者さんが減ったとするとうん百万という単位の減少です。というわけで、インフル・ワクチンは「本当に」効いてます。
*インフルで求めてはならぬ治癒証明 インフルエンザが治った子供が「治癒証明」を求めて再び受信する、という不思議な現象が日本のあちこちで起きています。
インフルエンザが治ったことを「証明」することなんてできません。学校保健法では「発症してから5日、かつ解熱してから2日」は学校を休むことを求めています。これで良いです。「治癒証明書」の発行なんで論外です。
*またかいな、風疹騒ぎは、終わらない?
風疹は、妊娠した女性が感染したときに起きる、先天性風疹症(CRS)新生児の先天異常の原因になる。
麻疹の最大の問題は、「空気感染」することです。麻疹患者が5メートルと、10メートル先にいるだけで、そのウイルスは空気中を舞ってあなたに感染します。
風疹・麻疹には治療薬は無いが、予防法はあります。それは、予防接種、ワクチンです。
*ホンマです?だいたいウンコな抗生剤
第3世代セフェムの外来処方の99.9%は誤用です、風邪を引いたら出す抗生物質は効果がなく、副作用が問題です。腸の中にいる大事な「常在菌」を殺してしまう。(ここから先は本をお読みください)
*風邪ひかぬ手洗いうがい、効果ある? 風邪やインフルエンザになった人が、くしゃみや、咳で病原体をまき散らさないためにマスクを着用するのは、効果的です。口や鼻から出てくる水しぶきを、マスクがブロックしてくれるからです。
しかし、風邪やインフルエンザにならないために、予防のためにマスクをしても、咳などで飛び散った水しぶきはとても小さいので、マスクと鼻の隙間などから入ってきてしまいます、よって効果はあまり期待できません。
ただし、病原体にさらされやすい病院のスタッフは別です。マスクをすることで、風邪やインフルエンザになりにくくなることがわかっています。
*抗生剤何日のむか、よーわからん
抗生物質を世界で初めて開発したのは、パウル・エールリッヒ(ユダヤ人)と奏佐八郎という日本人でした(1910年頃)これは、おそらく野口英世以上の微生物学上の大偉業です。ところで、実は抗生物質について、良くわっかっていないのは、治療期間なんです。
*災害のときこそ正しい薬をだそう
東日本大震災での不適切な抗生物質投与(クラリス)が行われていたと言う。瓦礫の粉塵が咳の原因だったのだが、多くの医者が抗生物質を処方していた。被災した3月から7月までの診療録2253回に抗生物質が処方されていました。その中でダントツに多かったのがクラリス、次がセフェムだった。
*予防せよ、子宮頸がん、ワクチンで
子宮頸がんはHPVというウイルスが原因、現在はガーダシル9というワクチンが世界的に使われている。ところが、HPVワクチン、日本ではほとんど普及していません。なぜ?(ぜひ本を読んでみてください)
*近藤誠氏「ワクチン副作用の恐怖」批評
近藤誠氏とは、元慶応義塾大学医学部専任講師、癌の放射線治療の専門家、現在は近藤誠がん研究所所長。「患者よがんと闘うな」はベストセラー 近藤誠氏がワクチンの副作用を理由に反ワクチンを主張していることを批判しています。
リスクの双方向性を理解せず、ワクチンのリスクを過大に評価し、ワクチンで防御できる感染症のリスクを過少評価しています。とても強い言葉で、業界からの即刻退場願うと。
岩田医師は、日本で最初にコロナ感染者が問題になったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」に乗船し、その内情を伝え、注目された。
言いにくいことをはっきりと専門家の立場から、明確に語れる人で、コロナウイルスに対しても、Twitterなどを使って積極的に発信している。
ぜひ、読んでもらいたい本だ。