山中伸弥 教授は、
日本のコロナの現状・情報発信に対する懸念から、専門家として、何か自分にできることはないかと、自身のblogを立ち上げ、
正しい情報を発信し続けている。
私も、テレビやツイッター、ネットニュースを見ながら、政治家やタレント、専門家と称する多くの学者の意見を見たり、聞いたりしているが、
本当にこれから、日本はどうなっていくのだろうか?
コロナはいつ収束して、われわれの生活は正常にもどっていくのだろうか?
それとも、もう、二度ともとにもどることは無く、
新しい生活様式が作られていくのだろうか?と
いくつかの、疑問と漠然とした不安に襲われている。
それは、この情報社会の中で、どの情報を信頼すればいいのか確信が持てず、ただ情報の海に、不安げに漂っているからであろう。
今回は、ひとりの読者として、山中教授の発信しているプログを、再度読み返しながら、自分なりに気になった記事を掲載し、最後に感想を述べることにした。
ここから先の文章は、山中教授のblogを熟読してもらえば、読む必要のない文章であるが、もし、そんな時間もないし、エッセンスだけ知りたいし、と思う人は、私の記事も読んでもらえば、ありがたい。
山名教授のblogアドレスは以下になります。
ここから先は私のアンテナにひっかかたblog記事です(エッセンスのみ)
●実行再生産数(Rt)を計算して、現状を分析してみる
新型コロナウイルスに対する対策は微妙な手綱さばきが求められます。
緩めすぎると感染者の急増と医療崩壊を招きます。
締めすぎると、休業自粛をお願いしている方々の生活が崩壊し、また抗体を持つ人の数がなかなか増えないため、第3波、第4波に対して脆弱になります。
一人から何人に感染が広がるかを示す実効再生産数(Rt)を1未満で維持することが目安になります。
①大阪府のRtが4月21日に1を下まわり、5月1日現在で0.6程度という計算結果は、府民の努力が報われているようで嬉しく思います。この値が続くようであれば、経済活動等を少し緩和出来る可能性を期待します。しかし油断は禁物で、緩めすぎるとRtはあっという間に1を超えると思います。
②京都市も市民の努力で4月16日以降、Rtの平均値は1未満とい結果です。しかし95%信頼区間の上限は1以上という結果ですので、努力を維持する必要がありますし、iPS細胞研究所でも活動を引き続き普段の約20%に抑えたいと思います。
③北海道は、4月11日の段階で2.7という計算結果でしたが、道民の皆様の頑張りで、5月2日には1.12という計算結果です。まだ1を超えていますので、引き続きの頑張りが必要と思われます。
④東京では、新規感染者を見つけるための検査数の実態を知ることが出来なかったため、Rtの計算は断念しました。
●証拠(エビデンス)があり、正しい可能性が高い情報としての現状把握
①国、地域により致死率異なる(5月1日のデータ)
世界全体:7.1% 韓国:2.3%、日本:3%、ドイツ:4%
アメリカ:5.8%、中国:5.5%、
スペイン:10%、フランス:14.5%、イタリア:14%、イギリス:15.7%
②感染に関してわかっていること
・症状が出るまでの潜伏期間は1から17日とばらつきがある(平均は5~6日程度)
・感染しても30~50%では症状が出ない(無症候の割合はもっと高い可能性もある)
・感染してもPCR検査で陰性となる場合がある
・発症しても多くの場合は発熱や咳などの軽症
・高齢者や持病を持つ患者を中心に一部の患者では肺炎等で重症化、致死率も高い
・一人が何人に感染させるか(再生産数)に関して、何も対策がなく誰も免疫を持っていない時の基本再生産数(R0)は2以上、しかし、公衆衛生上の対策により有効再生産数は1未満にすることが出来る。
・咳等の飛沫とドアノブ等を介しての接触で感染する。
・集団感染(クラスター)が世界各地で報告されている。
●山名教授が提言している5つのこと
提言1 自分を、周囲の大切な人を、そして社会を守ろう
◎感染した方への思いやり
誰にでも感染は起こり得ます。1,2年後には半分くらいの日本人が感染している可能性もあります。感染した方への偏見や差別は無意味です。
提言2 医療体制を整備し、医療従事者への偏見をなくし、医療崩壊を防ごう
◎医療従事者の保護
重症者、重篤者の増大により、医療従事者の労働が過剰になり、感染のリスクも高まります。
・感染病床の増床
・人工呼吸器や防御服の増産、自治体をこえた柔軟な利用
・ローテンションなど、医療従事者の過重労働の軽減
・医療機関による役割分担体制の整備
・医療従事者の感染症対策に関する教育
・緊急性の低い、他疾患に対する処置や手術の延期
・抗体陽性者の活用
提言3 目的を明確にした検査体制の強化
◎市中感染の広がりを把握するための検査
数千人単位の調査が必要です。PCRでは困難です。抗体検査がより適しています。
感染の広がりを把握することは、活動制限の程度を決定する上で不可欠です。
抗体検査は、現状では感度や特異度が不明であり、1人1人の感染の有無の判断に使うのは危険です。
しかし、集団として、どれくらいの人が感染したかを推察する目的では、極めて有用です。
PCR検査は、現在の10倍、100倍と検査体制を増やす必要があります。大学や民間の研究機関も活用するべきです。
提言4 国民への長期戦への協力要請と適切な補償
2月末のイベント自粛や休校措置の際、「ここ1,2週が山場」という言葉が誤解され、3月中旬に人が観光地や繁華街に溢れました。
今回の緊急事態宣言においても「1か月頑張ろう!」という発言が誤解される可能性があります。
厳格な対応をとっても、中国では第1波の収束に2か月を要しました。アメリアでは3か月と予測しています。
第1波が収束しても、対策を緩めると第2波が懸念されます。
対策は、ワクチンや治療薬が開発され、十分量が供給されるまで続けなければなりません。
数か月から1年にわたる長期休業の間、事業主に対しての補償、従業員に対しての給与の支払いや再開時の雇用の保証を、国と自治体が行う必要があります。
国民に対して長期戦への対応協力を要請するべきです。休業等に対する強力で迅速な対策が必須です。
提言5 ワクチンと治療薬の開発に集中投資を
ワクチンは、早いものは臨床試験に入りました。しかしワクチンの開発は臨床試験に入ってからも時間がかかります。
1年以上を要する可能性が高いです。
アビガン等の既存薬が期待されていますが、過度の期待は禁物です。
新型コロナウイルスの特性に応じた治療薬の開発が緊急の課題です。
アメリカ等でワクチンや治療薬が開発されても、日本への供給は遅れたり、高額になる可能性もあります。
産官学が協力し、国産のワクチンと治療薬の開発に全力で取り組まなければなりません。
●The Hammer and the Danceとは
Tomas Pueyoが対策を決定する指標として重視しているのが実効再生産数(R)です。
1.コロナウイルス arXiv*(10)2020 年 5⽉6⽇ ⿊⽊登志夫氏の発信
①日本の現状分析と評価(結論)
● 4 ⽉中旬以降、確認新規感染者は明らかに減少に向かっている。感染者倍加⽇数も伸びてきている。
● これは、4/7 発動の⾮常事態宣⾔により、国⺠の間に対コロナ意識が共有され、⽣活と⾏動の⾃粛の結果である。
● しかし、指数関数的に増加する傾向に変わりなく、ここで規制を緩めると感染が再燃する恐れがある。3 ⽉ 20-22 ⽇の連休、最近の北海道の例に学ばなければならない。
● 死亡者の増加傾向には、好転の兆しが⾒られない。
● 5 ⽉末までの緊急事態宣⾔の延⻑は妥当な決定である。
● 政府の対応には、これまでの対策への反省もなければ、説明もないまま少しずつ変えている(たとえば PCR 検査)。
このため、国⺠に対して説得⼒がない。スピード感に⽋けている。
情報の公開も不⼗分な上、国際的な発信も遅れている。
②ヨーロッパ株が世界を制する
この記事は、コロナウイルスがどのように世界に広がったのかを説明しています。
最初にアメリカには、1 ⽉ 16 ⽇武漢からシアトルに戻ってきた男性(中国⼈?)によってもちこまれました。
しかし、カリフォルニアに⼊ったウイルスはシアトルのウイルスでないことは確
かですが、起源は分かっていません。
ヨーロッパに最初に持ち込んだのは、1 ⽉ 19 ⽇上海からミュンヘンに⾶んだ中国⼈⼥性でした。
彼⼥は、⾞関係の会社の会議に出席し、ウイルスを広げました。
ヨーロッパのウイルスが New York に⼊り、さらに広がりました。
ヨーロッパ由来のウイルスは、アジアに逆輸出され、前回の感染研のデータでも明らかになったように、
いま⽇本で猛威を振るっているのは、中国のオリジナルコロナではなく、ヨーロッパ
由来の変異株なのです。
変異はランダムに起こりますが、分析したウイルスがそこにあるのは、その環境の下で選択された結果です。
ヒトからヒトへ感染が広がるのは、ヒトにうつりやすい変異が選択された結果です。
ウイルスが猛毒化し、SARS のように、感染間もなく感染者を殺すようになれば、
ウイルスは感染者と共に消えていきます。
その意味で、コロナウイルスは、ずる賢い、保⾝に⻑けたウイルスと⾔うことがいえます。
決め⼿はワクチンですが、コロナウイルスは、ワクチンからも逃れるような賢い戦略を持っているかもしれません。
2.COVID-19 対策に関してコロナウイルス研究に長く携わった元研究者のコメントである。
現在、猛威を振るっているヒトコロナウイルスによる COVID-19 対策として、日本は韓国やドイツなどと違い、感染者特定重視の方針をとってはおらず、症状が出た患者の感染有無を判定することに重点を置いている。
従って、遺伝子検査数は未だに多くない。
COVID-19では多くの不顕性感染者が存在し、それらが感染源となっていることは、本疾病が日本侵入当初から、指摘されていることである。
感染者特定を重視しない日本では、感染者数が他国と比べ極めて少なく、また致死率は2%と、韓国、ドイツなどと比較して高い。
このことは、多くの不顕性感染者(感染源)が潜在することを意味する
現時点で早急になすべきことは、感染者の特定、隔離である。
無症状者や軽症患者は他国で実施されているように、医師の監督下で特定の宿泊施設に収容し、重症患者は指定病院での治療である。
国や東京都が打ち出している「外出自粛」では、強制力がなく、感染拡大の阻止は殆ど不可能と思う。
私が強調したいのは、COVID-19 の感染拡大を抑えるには、感染者の特定、隔離が最も有効で、現段階では唯一の手段である、ということである。
都市のロックダウンはかなり長期間(少なくとも潜伏期間以上)行わないと感染防止効果はない。
現在、東京都内は、人が集う場所はどこでも感染し得る状態で、基礎疾患を持つ高齢者が安心して過ごすことは出来ない。
田口文広: 獣医師、元大学教授、元感染症研究所室長、コロナウイルス研究歴 45 年
●私の素直な感想
山中教授のblogを読んでみて、改めて山中氏が伝えたいメッセージは
このウイルスを甘くみてはいけない、これから世の中が変わってしまうくらい、
長期戦になることを覚悟しなければならない。(ワクチンができるまでの1年以上)
そのことを前提に、これからの生き方、対策を考えていかなければならない
特に気をつけなければならないのは、政府の発表する、都合の良いメッセージや、報道機関の発信する、ここちよい言葉や、正確さの欠ける情報である。
私たちは、信頼できる専門家が発信する、科学的根拠に基ずく情報をもとに、
一人一人が自分の頭で考え、長期戦に備え、準備することが大切だ。
5月の長い自粛連休を終え、非常事態宣言の延長が決まったが、
その一方で、出口戦略をどのようにするかの議論がすでに始まっている。
そのような中、経済の回復が最優先のような議論が出てきてもおかしくない。
多くの人々は、まだ、経済が相当悪化している状況をニュースでは知っているが、ほとんどは、他人ごとのように感じているのではないかと思う。
日本人はこれから、本格的な経済危機と医療崩壊の危機、ストレス解消法と感染拡大の恐怖を感じることになるだろう。
私達日本人が、今後、ワクチンができるであろう、一年間近くを乗り切っていかなければならないと考えると、本当の人間力を試されるのは、これからなのだろうな、と思う。