池上彰が聞いてわかった生命のしくみ
池上彰さんが、東工大で生命科学を学ぶ、というこの本
生物は、高校生の時以来、ほとんど勉強してこなかった、私にとって、とっても興味深い内容で、おもしろかった。
「ウイルスは生物ですか?」
新型コロナウイルスが世界じゅうに蔓延しているが、ウイルスは生物ではないのだろうか?そんな超基本的な質問から始まっていく。
生物の定義は三つあります
「境界・自己増殖・代謝」です
・生物には、細胞膜という「境界」がある
・細胞が分裂して、自己増殖する
・ごはんを食べて消化すること、そこからエネルギーを作ることが代謝です
それに対して、
ウイルスは自分自身の中でエネルギーや体を作ることはできません。
入り込んだ先の細胞を借りて、自分の材料を作っています。
よって、ウイルスは生物の定義からははずれているのだ。
DNA、遺伝子、ゲノム、染色体とは、それぞれどう違うのですか?
生活の中で、頻繁に出てくるこれらの言葉、
改めて、質問されると、回答することができない。
自分が、まったく言葉の意味をあいまいにしか、理解していないことがわかる。
・DNAは、遺伝子を担う物質、正式名称は、デオキシリボ核酸
二重らせん構造をしている。
・染色体は、DNAがコンパクトに折りたたまれて、顕微鏡で見えるくらいの大きさになったもの。
・遺伝子とは、遺伝情報、つまり親から子へ受け継がれる「情報」という概念のこと。
・ゲノムは、遺伝情報の総体のこと、遺伝子を全部ひっくるめてゲノムと呼んでいる。
ここから、少し難しい細胞の中の話。どこかで聞いたことのある、言葉が出てきて、細胞の中で、何がおきているのか?わかりやすく解説している。
以下、無理やりまとめると。
生命の統一原理「セントラルドグマ」とは、DNAから「RNA]という分子に情報がわたり、RNAからタンパク質が作られる
このようにして、生命のもととなる、いろいろな、たんぱく質が作られている。
そして、地球上には、多種多様な生物が生存している
それは、なぜなのだろうか?
いろいろな形の部品を手当たり次第作っていき、その中でうまく機能するものだけが、たまたま生き残り、それを繰り返して、さらに最適化を重ねて今の生命があるのです。
進化は変化にすぎない、変化の結果が多様性につながっている。
そして、いよいよ現代の生命科学は
神の領域と思われていた、生命の誕生、進化にかかわる遺伝子情報のなぞを研究することで、人類は、ゲノム編集という、技術を使えるようになってきた。
遺伝子組み換えでは、組み換わった配列を持つDNA断片をあらかじめ用意して細胞の中に入れるのですが、細胞内でDNA配列を変えるのがゲノム編集である
それにより、病気の治療や、農作物の品種改良を短時間で、簡単に行うことができる可能性がでてきた。
その一方で、倫理的な問題も出てきている。
善意のつもりでやったことが、結果として良くないことを引き起こす可能性がある。
人間は、生物であるが、超生物を作ってしえるような、技術を手にいれつつある、
この技術は、これから、もっと進歩して、人間にすばらしい恩恵をもたらすとともに、人間の存在を変えてしまうほど、強力な恐ろしさも同時に持つ。
よって、生命科学の知識は、これから生きていく人達にとって、ますます欠かせない知識となっている、
この本は、そんな生命科学の入門書として、最適な本となっている。
池上彰が聞いてわかった 生命のしくみ 東工大で生命科学を学ぶ (朝日文庫)